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202108号

■食品と健康の科学■

ビタミンK2がニコチン使用者の心臓疾患リスクを低減

 Cardiovascular Research (doi: 10.1093/cvr/cvab244)に掲載の研究が、ビタミンK2が、酸化ストレスや血管石灰化を抑えることで、喫煙者の心血管イベントのリスクを低減させることを示唆している。喫煙者および非喫煙者の頸動脈病変における血管石灰化を評価した結果、喫煙者の頸動脈プラークでは、非喫煙者に比べて石灰化が多く見られ、アテローム硬化性負荷が高いことが確認された。また、喫煙者は非喫煙者に比べて微小石灰化が17倍高かった。in vitroでは、ニコチンは、骨形成遺伝子発現(Runx2、Osx、BSP、OPN)を増加させ、細胞外小胞(EV)の分泌を促進し、その後、プライマリ血管平滑筋細胞(VSMC)の石灰化を増加(誘発)させていた。ニコチンの石灰化促進は、フリーラジカルを生成するCa2+依存性Nox5によって媒介されていたが、SiRNAによるNox5のノックダウンで、ニコチンによるEV分泌と石灰化が抑制されていた。喫煙者の頸動脈では、Nox5の発現が高く、これらの血管の石灰化レベルと相関していることが示された。ビタミンK2でVSMCを前処置すると、ニコチンによる細胞内酸化ストレス、EV分泌および石灰化が改善されていた。以上の結果から、喫煙が心血管疾患に影響を与えるのは、酸化ストレスが増加して血管石灰化が促進されるためであることが示されているとともに、ビタミンK依存性タンパク質を活性化する補助因子としてよく知られているビタミンK2が、酸化ストレスを軽減する効果的な抗酸化物質でもあることが示されている。


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